2008年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2008年03月

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川崎競馬/菅原勲騎手特別インタビュー

1勝目口取り


 今年1月28日から菅原勲騎手が南関東4場を舞台に期間限定で騎乗(所属は川崎・内田勝義厩舎)。約1ヶ月間だったにもかかわらず驚異の15勝をマークし、G1ジョッキーの実力をマザマザと見せつけた。
 この数字はインタビューでも触れているが、過去の期間限定騎手の中でも最多勝を誇り、菅原勲騎手自身、そして岩手競馬を大いにアピールしてくれた。そこで今回、菅原勲騎手に直撃インタビューを試みた(取材日2月26日、川崎競馬場)

―あっと言う間の1ヶ月だったのではないですか
 ですね。これまで何度となく南関東で騎乗してきましたが、あくまでも遠征する立場。今回の場合、所属を替えて調教、レースに乗る訳ですから全然違います。毎日、朝3時から攻め馬をびっしりこなしてから実戦なので、正直大変でした。しかも環境も違うので戸惑うことが多かった。

1勝目
―ベテランでも戸惑いはあったんですか(笑)
 やっぱり場所によって攻め馬パターンが変わりますからね。それに最初はどんなクセがあるのかも分からないので、常に緊張感を持って乗っていました。逆にそれで初心に帰ることができて新鮮な面もありました。

―騎乗馬を集めるのも大変だったのでは…
 ええ。名前は一応知られていましたが、あくまでもこちらでは新参者。エージェントを引き受けてくれた方も苦労したと思います。

―でも毎開催、すごい数の騎乗馬でした
 エージェントの方に感謝ですね。それと騎乗2日目(1月29日)、佐々木竹見カップを総合優勝できたのもラッキーでした。そのあとはいいサイクルで騎乗するチャンスが増えました。

―それにしてもわずか1ヶ月で14勝(取材日時点:最終的に15勝マーク)にはビックリしました
 改めて思いましたが、この世界は結果がすべて。自分を信頼して乗せてくれても結果が出さなければ次はない。逆に結果が出ればいい馬にも巡り会える訳ですが、まさか14勝もできるなんて自分でも驚きです(笑)。

―ところで船橋競馬場は今回が初めてだったそうですね
 不思議とチャンスがなかった。元々、自分はコース特徴を把握したいタイプ。馬にしてもどのぐらいの脚を使うのかを理解したい方ですから、慣れるのにちょっと時間がかかるみたいです。

―さきほど川崎の主催者も言っていました。菅原さんが過去最多勝を記録しましたよ、って
 うれしいですね。自分では恵まれすぎだという気持ちがありますが、これで少しでも岩手をアピールできたと思います。

―で、来年も騎乗が決まったそうですね
 はい。同じ川崎の内田先生のところにお世話になる予定です。この期間限定騎乗は1年前に申請しなければなりませんが、今回の実績も評価されたんでしょうね。来年は2ヶ月の騎乗を考えています。

―岩手のスタートにも弾みがついたんじゃないですか
 今、体重が48キロ。これはマレーシアで騎乗したとき以来の軽さ(笑)。ですから今朝もしっかり朝飯を食べてきましたから(大笑)、体調も万全です。岩手に戻ってもこの状態をキープして好ダッシュを決めたいと思っています。

取材風景
菅原勲騎手を交えた取材風景


 ちょうど取材日に3勝を固め打ち!「自分でもできすぎ」と言い、また「来てくれたときに勝てて良かった。未勝利だったら暗いインタビューになったかもしれないからね」とも語り、周囲を笑いで包んでくれた。
 翌日第1レースで落馬のアクシデントが発生し、以降の騎乗をキャンセル。大事にならなければいいなと心配したが、幸い大きな怪我ではなく28日には戦列に復帰。最終10レースのホーリーアローを1着に導き、周囲をホッとさせた。また南関東での騎乗最終日となった28日、9レース終了後には「送る会」が催され、いかに菅原勲騎手の存在が大きかったかを証明した。

【取材・文/松尾康司 写真/井上オークス】
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荒尾競馬・岩手村/5 交流のこれから

装鞍所に隣接するパドック


 かつて「M&K」として岩手・九州連携が華々しく始められた頃、人馬交流の拡大にも大きな希望が生まれた。その一つが「M&Kジョッキーズシリーズ」であり、かつての岩手の重賞で設定されていた「東日本・九州交流」という条件だった。
 しかし、やはり日本の北と南、1000km離れる両者の間の行き来は簡単ではなく、人馬交流はそれ以上拡大しなかった。
 ひょんな事から「M&K」の果たせなかった夢が形になったといる今回の大遠征。これからの地方間交流のテストケースともいえ、これを今回限りで終息させるのはあまりにもったいない。

荒尾の騎手一覧
荒尾の競馬場入場門に掲げられている騎手一覧。2月22日に高山騎手が引退し、3月には吉井騎手が引退する。04年に訪れた時にはここに23人の写真があったが・・・


 とはいえ、M&Kが立ち上がった時以上に「実利」が求められる現状だけに、端的に言えば「お互いの売上げ増についてプラスになるかどうか」が重要であって、「こんなに遠いのに遠征しちゃいましたよ」程度では誰も納得してくれない。こうした遠征を“いかに売上げにつなげるか”、それがまとまって始めて次回以降の話ができるというものだ。
 そうしてお互いのメリットを生み出せれば、冬季の定番イベントとして続ける事も可能だろう。

モナクカバキチ45勝目
偶然見る事ができたモナクカバキチの45勝目。エスケープハッチの50勝に続き、現役2位の勝ち星数を持つ。

 荒尾側のメリットとしての「レース増・出走頭数増」という目的はある程度達成されたと言っていい。
 この2月の荒尾競馬での1日あたり平均レース数は10.6、1日あたり・1レースあたりの平均出走頭数は7.6頭。開催日数が同じだった昨年11月はそれぞれ9.8・7.1だったので、レース数でほぼ1レース/日、頭数で0.5頭/R増えた事になる。また6頭立て以下のレース数を比較すると、昨11月が22あったのに対しこの2月は14だった。
 あとはこれが売上げ増につながっているかどうか。荒尾側としてもそれなりに多額の経費をかけているだけに、それ以上の効果があるかどうかが成否を決める。

 岩手側のメリットは、今のところは主に現場に働くものだ。休催期間中も岩手所属のままレースができるのは、現場にとっては馬の流出をつなぎ止める一助になるだろうし、本来収入ゼロの時期に一定の収入源を確保する事もできる。
 これらはやや付帯的なメリットではあるが、冬季休催期間の厩舎や騎手は非常に苦しい状況に置かれるのだし、これはこれで重要な意味がある。
 ちょっと視点を変えてファンサイドから見ても、どうしても話題に欠ける冬季、他地区とはいえ岩手の馬や騎手が活躍するというのは岩手競馬に対する関心を惹き付けておくアイテムになる。こういう機会を創出するのは大事だと思う。

 後は場外発売の活性化だろう。現地でも言われた事だが、せっかく荒尾で岩手の馬や騎手が走っているのに、岩手で荒尾の場外発売がほとんど無かったのはもったいなかった。
 岩手でも荒尾場外発売時の売上げ減は問題になっている事案で、こんな機会を活かさないでどうする!?と思ってしまう。(今回の遠征は冬季の場外発売日程がほぼ固まったあとに決まった事だった、とか南関場外時はほぼ毎回第二場の孫請けがあって販売システム的に難しいとか、その他もろもろの事情もあって、現実的にはなんともならなかったのは分かっているが・・・)。この点は荒尾側の最大の不満点でもあり、次回が行われた場合の課題として考えておきたい。(了)

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荒尾競馬・岩手村/4 遠征・滞在・悩みどころ

スタート

「岩手競馬公式ホームページ」や岩手競馬サポーターズネット「いちおしトピックス」でお伝えしている荒尾遠征馬の出走予定を見ている方はもうお気づきだと思うが、荒尾遠征中の岩手の馬たちはほぼ毎週のように出走している。
 なかでも2月5・6日、12・13日、19・20日はこの3週間で「15回荒尾」、つまり1開催だったのに、岩手の馬はこの3週とも走っている馬が多い。「一開催3回出走」というなかなか強烈なローテーションだ。

 これは“なるべく出走回数を増やしたい”という岩手側の希望があっての事で、数をこなしたい馬は連闘するし、そうでない馬はこの“ローテーション”から外れ、荒尾の格付けの中に入って1開催1走をキープしてきた馬もいる。だが、「1開催2回出走」が無い荒尾では岩手の馬に対しファンも若干戸惑っているようだ。


装鞍所
「みちのく特設」レース前の装鞍所。荒尾の装鞍所に岩手の馬がずらりと並ぶ

 そうやって連闘してくる岩手の馬だけのレースを「みちのく特設」としてまとめてあるが、これも賞金順で下のクラスのグループはまだしも、上の方になると岩手でのB1級からC2級くらいまでが一つのレースに入ってしまい、これはこれで結果が見えてしまう。

 まあ、こういう編成については岩手側・荒尾側それぞれ考えがあり、実際やってみれば良い・悪いの意見も出ているところで、こういう交流が来年度もあるのならまた改めて検討しなくてはならない部分だろう。

 実際のレースはしかし、意外に岩手でのクラス・力関係通りにはならず、思わぬ波乱も起きている。
 これはやはり長距離輸送・環境の変化で力を出し切れない馬がいる一方、荒尾の“砂が合う”馬も出てきたから、ということのようだ。

 例えばコスモユリウス。平澤厩舎に1000勝をプレゼントしたメモリアルホースだが、シーズン後半はC1に上がって苦戦が続いていた。それが荒尾にいった途端、岩手でB級のミズサワゲンキだとかヤマニンリボールトと互角に走っている。
 ビバサーストンなどはこれまでどうしても勝てなかった右回りであっさり2勝。2度とも1番人気馬を僅差で凌いで勝っているわ、2勝目は生涯初経験の1900mで逃げ切ったりするわで、あながちフロックとは言い難い。

パドック



 山本政聡騎手がコスモユリウスの事を「こっちに来てなんだかやたら元気になって。荒尾が好きみたいですよ」と冗談めかして言っていたが、案外「荒尾が好き」が正解なのかもしれない。
 競馬場によってコースの形は違う、コースの砂の厚さや脚を蹴った時の引っかかり具合も違う。レースの流れも当然違うわけで、そういう変化がプラスに働く馬、つまり「砂が合う」馬がいてもおかしくない。
 もちろん逆に「砂が合わない」馬もいるわけで、こういうところは一発勝負の遠征とは違う、滞在競馬の面白さと言っていいのかもしれない。
 来年この遠征があれば、あちらにいって突如いい成績を出した馬がいたら、次戦も忘れずに追いかけることにしよう。(続く)
騎手イベント
2月13日、レースの合間に岩手の3人の騎手からプレゼントが貰えるというイベントが開かれていた

| テシオ情報局 スペシャル | 00:49 | trackbacks:0 | TOP↑

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荒尾競馬・岩手村/3 朝の調教 その2

夜明けのコース

 7時近くになってようやく空が明るくなり始めた。東北・岩手と九州・荒尾では30分以上、夜明けの時間が違う。
 荒尾競馬場は海に突き出した形なので周辺のほとんどは海。陸側も特に大きな通りに面している訳でなく、夜が明けたからといっても静かなままだ。むしろ、調教が終わるに従って馬の動きが減っていくので、明るくなるにつれ静かになっていく感覚すらある。

 荒尾競馬場での調教は、基本的には内コースの練習走路のみで行われる。本コースも定期的に開放されるとのことだが、そうでない時でも本コースを走っている馬を見かける事がある。内コースに入る時には当然本コースを横切るわけで、「いないと聞いていたのに走っている本コースの馬、それもなぜか内コースとは逆の左回りで、外ラチ沿いを走ってくる」馬に、岩手の騎手たちはとても戸惑ったそうだ。
 荒尾の馬の追い切りの流れも岩手とは異なるという事で、騎手たちはそういう違う競馬場での流儀の違いに戸惑いつつ、しかし興味深くも思っているようだ(岩手の中でも盛岡と水沢では全くといっていいほど違うが)。

朝食
盛岡組の朝ご飯。作ってくれたのは櫻田浩三調教師。おいしゅうございました


 遅い朝もすっかり夜が明けきった8時頃には厩舎作業も終了。厩務員さん達は朝食&休憩、騎手は調整ルームに向かう。騎手たちは手が空けば荒尾の馬の調教も手伝っていて、荒尾の平山厩舎の馬に山本政聡騎手が乗っているのは、そういうつながりから生まれたチャンスだ。

 厩舎を出て外を見ると、荒尾の騎手や厩務員さんがパドックで馬を追っているのが目に入った。調馬索を使ってぐるぐる回しているところを見ると2歳馬の馴致だろう。
 他の古馬の出入りはすっかり終わって厩にしまわれており、馬房の小窓から顔を出している姿が見える。とはいえやっぱり埋まっていない馬房もかなりあるらしく、しばらく見ていたけれど馬の気配を感じない所があちこちにあった。(続く)

| テシオ情報局 スペシャル | 21:37 | trackbacks:0 | TOP↑

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荒尾競馬・岩手村/2 朝の調教 

荒尾・厩舎

 朝5時。朝の調教はすでに佳境を迎えていた。コースへ出る馬、戻ってくる馬が入れ替わり立ち替わり出入りし、洗い場では調教を終えた馬が手入れをされている。
 とはいえ隣の厩舎と少し離れているせいだろうか、周囲の物音はほとんど聞こえてこず、洗い場のシャワーの音ばかりが大きく聞こえる。厩舎エリアには街灯もほとんど無いので、コースへ出ていく馬は厩舎を離れると静かに闇の中に消え、後は遠ざかる蹄の音がわずかに聞こえるだけだ。

 荒尾での岩手の馬たちは都合3つの厩舎に分散して収容されている。水沢組が2棟、盛岡組が1棟で、水沢組は厩舎エリアの真ん中あたり、盛岡組は一番奥の厩舎があてがわれた。
 これらはいずれも空き厩舎として残されていたもののようで、岩手勢の中で先発してきた盛岡組が到着した時には手直しの工事が終わったばかりの様子だったという。

水沢から送り出された大量の資材




 これを見た盛岡組が、後発の水沢組に「現地には何もないから、とにかく持ってこい!」と連絡。水沢組は飼い葉桶やらネコ車やら自転車やらと、大型トラックに満載の荷物と共に乗り込んできた。それでも最初はいろいろ足りないものがあった。

 しかし、厩舎の建物自体はそこそこ綺麗で大きいし、宿舎に使っている厩舎付属の一軒家も3K+αくらいの広さがある。なにより“1月・2月に雪がない”という気候は、例年この時期、雪に閉ざされた厩舎で凍えながら作業をしている厩務員さんたちにとって、やっぱり“いいもの”のようだ。

荒尾・厩舎その3
盛岡組の厩舎。「古澤厩舎」の看板がかかったままだった


荒尾・厩舎02 始めに「調教も佳境を迎え・・・」とさらっと書いたが、実はそれは意外に凄い事なのかもしれない、と作業を見ていて思った。
 水沢9名・盛岡4名の厩務員が来ているのだが、それぞれ馬を出している厩舎から一人二人と集まってきた、いわば寄り合い世帯。
 どこも同じような事をしているように見える厩舎仕事も、実は厩舎ごとに微妙に手順が違う。ぱっと集まって“さあやるか!”と言っても、いきなりうまくはいかないものだ。
 だがそこは各厩舎のベテラン厩務員。昔から同じ厩舎にいたかのように、実にスムーズに作業を進めていく。そのあたりはやはりプロだ。(続く)

| テシオ情報局 スペシャル | 21:16 | trackbacks:0 | TOP↑

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荒尾競馬・岩手村/1 史上初(?)の大遠征

荒尾競馬場・パドック


 今年の1月から3月、岩手競馬から荒尾競馬へ馬や騎手が遠征、岩手競馬所属のまま荒尾のレースに参加している。
 岩手から荒尾に向かったのは競走馬50頭に調教師2名、厩務員13名、騎手3名。それが1ヶ月半にわたって現地に滞在するという実に大規模なもの。こうして他場の馬や人の応援を受けてレースを行うというやり方は東海地区と金沢競馬の間で行われているが、岩手競馬ではおそらく史上初の出来事だろう。

のぼり旗




 今回の遠征が実現した背景には荒尾競馬の競走馬不足がある。かつては下級条件でも多頭数立てのレースが組めた荒尾競馬だったが、近年はアラブ馬の減少もあって徐々に在厩頭数が減少。昨年半ばあたりからは6~7頭立てのレースが1日の過半を占める状態が続いていた。

 この競走馬不足を補う目的で、荒尾競馬と岩手競馬、そして地全協の協力のもと行われたのが今回の遠征だ。今年に入ってから一気に具体化した話でお互いに手探り、とりあえずやってみるという部分が多かったが、ひとまず無事レースに参加し、今その滞在期間も終盤を迎えつつある。
 テシオ編集部ではそんな遠征を知るべく、2月の荒尾競馬に向かう事にした。(続く)

2コーナー付近

| テシオ情報局 スペシャル | 12:09 | trackbacks:0 | TOP↑

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弾ける末脚! チャンストウライ佐賀記念を完勝!

チャンストウライ

 2月9日、JRA京都競馬場では降雪のため3R以降を取り止め。翌10日は東京競馬場で降雪のため開催を取り止め、いずれも11日に続行・順延という事になった。JRAでは2月3日の東京競馬でも降雪順延となっており、2週続けてのこの事態は21年ぶりの椿事だった。
 この影響は京都から500km離れた佐賀にも現れた。佐賀記念当日の11日に京都競馬が続行開催されるため、佐賀記念に騎乗予定だった武豊騎手・安藤勝己騎手が乗替りとなってしまったのだ。これにより武豊騎手予定だったサイレントディールは地元佐賀の鮫島克也騎手が、安藤勝己騎手予定のマコトスパルビエロは同じく地元の川野幸一騎手が騎乗すると、レースを目前にして発表される。
 結果的に、という事になるが、佐賀記念の結果につながる萌芽は、レース2日前の雪から始まっていたのだ。
立て看板
 安藤勝己騎手登場を伝える立て看板がそのままになっていた。それほど急な変更だった。

 1番人気は川野騎手に乗り替わったJRAマコトスパルビエロ、2番人気は兵庫のチャンストウライ。以下3番人気はJRAキクノアロー、4番人気はJRAサイレントディール、5番人気もJRAクーリンガーと続き、単勝上位人気はJRA独占の中にチャンストウライが割って入る形になった。
 ただし、1番人気マコトスパルビエロの単勝支持率は約49%に達しており、“圧倒的”といっていい状況。
 岩手のテンショウボスは6番人気。しかしながら票数では5番人気に迫っていてそれなりに高い評価は受けていた。

 レースでもマコトスパルビエロが主導権を握ると思われたが、序盤から中盤にかけての同馬はやや煮え切らない動きを見せた。
 スタートからダッシュ良く飛び出したのは笠松・ミツアキタービン。マコトスパルビエロはこれに外から並ぶ形に持っていくが、そこで2番手に収まってミツアキタービンを行かせようとする。
1周目直線
1周目。ミツアキタービン、マコトスパルビエロ、キクノアローと3頭が並ぶ

 いったんはマコトスパルビエロがクビほど前に出るが、1周目の3~4コーナーでは再びミツアキタービンが前に。スタンド前の直線、今度は少しかかったキクノアローがやって来てマコトスパルビエロの外に並び、マコトスパルビエロ共々ミツアキタービンの前に出かかるだが、1~2コーナーではまたしてもミツアキタービンが前に行かされる。

 これで困ったのがミツアキタービンで、併走馬に並ばれたり微妙に前に出られたりするうち馬の気が抜けてしまい、2度目の向正面の中程で失速。同馬は早々と上位争いから脱落する事に。

 ミツアキタービンが後退して単騎先頭に立ったマコトスパルビエロ、その手応えはまだ余裕があるように見えたが、直後に事態は一変する。
 ムチを数発入れてペースアップしようとするマコトスパルビエロだが、クーリンガーはしぶとく喰らい付いてくるし外からはチャンストウライが並びかけてくる。2度目の3~4コーナーでは手綱を押しまくるマコトスパルビエロに対しチャンストウライは持ったままでタイミングを計っている状態。攻めの主導権は明らかにチャンストウライに移り、マコトスパルビエロは明らかに苦しくなった。

 すでに1周目のスタンド前からムチを抜いていたチャンストウライは、最初のスタンド前は9番手あたり、1周目の1~2コーナーで7番手あたりと押して押して進出。2周目の向正面では5番手あたりの位置から一気に先頭に並びかけ、その後は逆に手綱を抑えて併走するだけの余裕を見せる。
 この時点でもはや勝負ありと思えたが、その後のチャンストウライの末脚は“そこまでやるか!?”というくらい爆発的でかつ豪快なものだった。
 直線に向いてグンと加速したチャンストウライはあっという間に差を拡げ、わずか200m足らずの直線の間に後続を4馬身もぶっちぎってしまったのだ。
 最後はまさに空を飛ぶが如く駆け抜けて、叩き出したタイムはレコード。“圧勝”というだけでは物足りないような強烈な走りを見せつけ、チャンストウライが自身初のグレードレース勝ちを手にした。

マコトスパルビエロ(装鞍所) 2着争いは最後4頭ほどが一団となる混戦となったが、古豪クーリンガーがこのレース4度目となる2着を確保。マコトスパルビエロは3着に敗れ、4着は最低人気のザオリンポスマン。5着は高知のスペシャリスト。テンショウボスはそこからやや離れた6着に終わった。

 勝ったチャンストウライは07年兵庫競馬の年度代表馬で、これまでに帝王賞Jpn14着、名古屋グランプリjpn23着などグレードレースでも好成績を残してきていた。今回は遠征ながら状態も良く、陣営は手応えを感じつつ参戦したというが、それでもこの圧勝ぶりには関係者も驚いたそうだ。
 一方、1番人気で3着に敗れたマコトスパルビエロはやや不完全燃焼に感じられた。意外と気難しいところがある馬だけに、やはり直前の騎乗変更は少なからぬ影響があったのではないだろうか。とはいえまだ4歳馬。巻き返すチャンスはいくらでもある。

 テンショウボスは6番人気で6着、人気通りといえばそうなのだが、昨年のマーキュリーカップではクーリンガーと僅差で走っているだけに、もう少し上の成績を期待していた。
 しかし、531kgと発表された馬体重は数字的にはほどよく見えたが、実際はこの馬にしてはほっそりとして感じられたし、返し馬でコースに入ってからは終始左右を見回して落ち着きがなかったのも気になった。
 レースでも伸びそうで伸びきれず、最後は流れ込んでの6着。レース後、小林俊彦騎手が状態面の不足を指摘したように、結果論ながら仕上がりが本物ではなかったという事なのだろう。

テンショウボス(装鞍所) 「遠征はやっぱり難しい」という事になるのだが、しかし勝ったチャンストウライの下原騎手が「若いうちからあちこち遠征に行かせていたから佐賀に来る事に不安はなかった」と言っていたように、今のグレードレースで好結果を残すような馬はみな遠征の経験が豊富だ。
 例えばチャンストウライは自場を含め6場目、ミツアキタービンは14場目。9番人気で5着に入った高知のスペシャリストは10場を経験している。マコトスパルビエロは8場、クーリンガーは14場だ。一方テンショウボスはこの佐賀でようやく4場目。中身の問題はあるにせよ、経験値の点では一歩遅れを取っていたと言わざるを得ない。
 もちろんそれはテンショウボス陣営も分かっていて、来シーズンは遠征主体に動く計画もあるという。テンショウボスはまだ5歳、もっと伸び代もあると思うし、地元といわずどこか他の競馬場で、その能力を発揮し尽くす時を期待したい。
【文・写真/テシオ 横川典視】

| テシオ情報局 スペシャル | 16:03 | trackbacks:0 | TOP↑

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年度代表馬報告 テンショウボスが満票で選出!!

テンショウボス

 1月31日、岩手競馬グランプリ2007選考委員会が開かれ、委員12名によって各部門優秀馬、そして年度代表馬が選出された。栄えある年度代表馬にはテンショウボス(牡5・佐々木修一厩舎)が全員一致で選ばれた。以下には各部門最優秀馬の選考過程を報告してみたい。
*なお年齢表記は現時点の年齢にしましたのでご了承ください

<2歳最優秀馬部門> コンバットキック(牡3・三野宮通厩舎)
コンバットキック
 選考対象となったのはジェベルロバーツ(牝3・村上佐重喜厩舎)、トーホウノゾミ(牝3・千葉四美厩舎)、コンバットキックの3頭。
 今年度の2歳戦線前半はジェベルロバーツが断然のリードを保ってきたが、終盤に連続で凡走。トーホウノゾミは未勝利脱出には時間がかかったが、岩手の2歳重賞で最も格の高い南部駒賞を優勝。その後、全日本2歳優駿Jpn1にも果敢にチャレンジしたが、大幅に体重を減らして本来の実力を出し切れずに9着に終わった。
 コンバットキックは特別・若駒賞、年明けの重賞・金杯を優勝。勝ち星3勝はジェベルロバーツには敵わなかったが、3頭が勢ぞろいした金杯を完勝。2歳離れした強烈な末脚を武器とし、パフォーマンス面では抜けた存在だった。
 しかし、今年の2歳戦線が混沌状態だったことを象徴するように、各馬の比較が非常に難しかった。実績を最優先すれば重賞1勝(ジュニアグランプリ)、特別2勝(ビギナーズカップ、黄菊賞)を含め4勝をマークしたジェベルロバーツのリードは明らかだったが、南部駒賞11着、金杯8着の大敗が痛かった。これはJRA年度代表馬にも同じことが言えるが、シーズン前半の活躍もさることながら、選考会により近いレースが重視される傾向は否めない。通年の見方からすれば限定材料にせざるを得なかった。
 またトーホウノゾミは岩手が生んだヒーロー・トーホウエンペラー産駒で、岩手伝統の南部駒賞を制し、ハイレベルを誇る北海道勢を抑えての優勝にも評価が集まった。ただ特別で2着はあるにせよ、初勝利に9戦を要したこと。勝ち星が2勝だった点。そしてコンバットキックとの直接対決では1勝1敗だが、遠征の疲れがあるにせよ金杯で9着は負けすぎだった。
 コンバットキックは9月デビューと3頭の中では最も遅かったが、3戦目のホープフル(盛岡芝1000m)を快勝し、続く若駒賞を連勝で制覇。南部駒賞は持ち味を生かしきれず6着に終わり、JRA中山・500万下(ダート1800m)は14着に沈んだが、帰郷初戦の金杯で豪脚が爆発。減点材料としては南部駒賞の6着凡走が大きかった。
 以上が各委員から出された意見だが、議論を尽くしたと委員長が判断し、挙手による投票に持ち込まれ、ジェベルロバーツ4票、トーホウノゾミ1票、コンバットキック5票。いずれも過半数に満たなかったため上位2頭の決選投票を行い、ジェベルロバーツ5票、コンバットキック5票とまったく同数。最終的に委員長が持つ票に選考が委ねられることになり、コンバットキック、ジェベルロバーツの直接対決はコンバットキックの3勝0敗。トーホウノゾミは1勝1敗と五分だったが、2頭の決選になれば直接対決の結果を重視してコンバットキックが優勢ではないかと発言。各委員ともこの判断に異論はなく、コンバットキックを最優秀2歳馬とした。

<3歳最優秀馬部門> セイントセーリング(牡4・鈴木七郎厩舎)
セイントセーリング 選考対象となったのはセイントセーリング、ハルサンヒコ(牡4・鈴木七郎厩舎)、ボスアミーゴ(牡4・鈴木七郎厩舎)、パラダイスフラワー(牝4・櫻田浩三厩舎)、マツリダワルツ(牝4・城地藤男厩舎)。
 今年、新たな三冠制度が導入され、セイントセーリングが阿久利黒賞、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ、不来方賞を見事制覇。創設初年度で早くも偉業を達成した。唯一、気になるのは古馬編入後の凡走だったが、それを割り引いても余りある実績を残したことが選考委員から評価された。
 ハルサンヒコを推す委員は地元重賞へ変更になったとは言え、ダービーグランプリをハイタイムで圧勝。また岩手最長距離戦の重賞・北上川大賞典でも王者テンショウボスに0.1秒差2着に食い込んだことでも地力の高さを証明した。これは今回の選考には直接関係はないが、ハルサンヒコが古馬になって最も活躍するのではないかとの意見も出た。
 またボスアミーゴを推す委員もいた。地方競馬はダートが主流だが、芝コースを持つオーロパークを舞台に活躍。3歳重賞・オパールカップ、そして3歳馬ではただ1頭、古馬重賞・きんもくせい賞を優勝したことはセイントセーリングの三冠にも勝るとも劣らない実績ではないかという意見だった。
 票決セイントセーリング8票、ハルサンヒコ1票、ボスアミーゴ1票の結果からセイントセーリングが最優秀3歳馬に選出された。

<4歳以上最優秀馬> テンショウボス(牡5・佐々木修一厩舎)
 ここは誰が見てもテンショウボスで無風状態。地元重賞をほとんど総なめにし、岩手で実施したグレード3競走、マーキュリーカップ4着、クラスターカップ3着(いずれもJpn3)は地方でも最先着。南部杯Jpn1でも7着。年間14戦8勝2着2回3着と抜群の実績を誇り、なおかつ赤松杯から圧巻の5連勝も飾って岩手のシーズンを終えた。もちろん満場一致で選出された。

<最優秀ターフホース> ボスアミーゴ(牡4・鈴木七郎厩舎)
ボスアミーゴ 対象馬はボスアミーゴ(前出)、サイレントグリーン(牡8・千葉博厩舎、ただし調教師勇退後は佐藤祐司厩舎へ転籍)の2頭だが、ボスアミーゴがサイレントグリーンを完封。よってボスアミーゴが満票で選出された。
 サイレントグリーンは昨年度未勝利のままシーズンを終了。しかし今年度は芝2400mの鬼が見事復活をとげ、カムバック賞があれば当然選出されたであろうとの意見が出された。





<最優秀牝馬> サイレントエクセル(牝5・千葉博厩舎、ただし調教師勇退後は佐藤祐司厩舎へ転籍)サイレントエクセル マツリダワルツ(牝4・城地藤男厩舎)も選考対象となったが、サイレントエクセルは牝馬の最高峰ビューチフル・ドリーマーカップを圧勝の他、青藍賞では年度代表馬テンショウボスを退けるなど牡馬相手にも互角以上の勝負を繰り広げ、満票での選出となった。











<特別表彰> コスモバルク(牡7・北海道 田部和則厩舎)
コスモバルク 馬インフルエンザが沈静化し、馬の移動制限の解除明け第一号がOROカップに参戦したコスモバルクだった。一昨年には地方所属馬で史上初めて海外G1・シンガポール航空国際競走を制し、昨年も2着。そのような超スターホースが来県してダメージが大きかった岩手競馬に元気をもたらしてくれた。当然だが、余裕の直線抜け出しを決めて圧勝し、ゴール後にはファンから大きな拍手が巻き起こった。






<特別表彰・アイドルホース賞> トレジャースマイル(牝3・村上昌幸厩舎)
 額にハートマークがくっきりのトレジャースマイルが話題を集め、デビュー日(11月10日)には全国からマスコミが殺到。水沢競馬場は普段は訪れない家族連れ、子供たちもたくさん押しかけた。結果は残念ながら5着。2戦目は一つ着順をあげて4着に入ったが、その後は若駒に無理はさせたくないとの意向から2戦でシーズンを終えた。
 何といっても競馬に興味がない人たちも巻き込んだ貢献度は計り知れず、岩手競馬に明るい話題を提供してくれた。今年春、また元気な姿を見たいところだ。

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佐々木竹見カップ優勝、菅原勲騎手に直撃インタビュー

―『佐々木竹見カップ』総合優勝おめでとうございます
 まぐれですよ。たまたま巡り合わせが良かったんです(笑)。

―いえいえ、1戦目は8番人気。しかもハナ差の勝利でした
 お世話になっている厩舎(内田勝厩舎)の馬だったのもラッキーでしたね。調教で騎乗できて持ち味をある程度、把握できたのも結果(1着)につながったと思います。

―南関東での騎乗2日目でした
 今まで冬季間にこのようなレースがある場合、実戦から離れていたので勘が取り戻せずに終わってしまいました。ですが、今回は1月14日まで岩手で乗って21日に川崎へ来ましたから、間隔を空けずに乗れたことも大きかったんでしょう。10日ぐらいでもう感触が薄れてしまいます。おそらく初日(28日)に勝てなかったのは技術もありますが(笑)、感覚とコースに戸惑っていた面は否定できませんね。

―佐々木竹見さんの偉大さだと思いますが、全国からそうそうたるメンバーがそろいました
 JRAから武豊騎手、後藤騎手。地方競馬からも超一流ジョッキーが来た中で優勝できて素直に嬉しい。このまま岩手に帰ればカッコいいでしょうが、まだ1ヶ月の騎乗があるので、ボロが出なければいいんですけどね(笑)。

―遠征前に岩手をアピールしたいと語っていました
 今回、短期免許を取得して南関東で騎乗するのは自分のためでもありますが、岩手も頑張っているんだぞと言うところを見せたかった。自分が結果を残すことで全国のファンに存在をアピールしたかったのが遠征理由でした。

―その年で(失礼!)、環境が違うところで騎乗するのは大変だと思います
 なんか初心に帰った気持ちですね。いい意味でいろいろと刺激を受けています。それに佐々木竹見カップを優勝した効果だと思いますが、騎乗依頼も徐々に増えつつあります。

―菅原勲騎手だけではなく今年は荒尾、佐賀、高知、笠松などで岩手のジョッキーが騎乗中です
 活躍できているか非常に気になります。とにかく頑張ってほしい。岩手をアピールして、戻ってからも他地区での経験を生かして、岩手競馬をみんなで盛り上げてほしいと願っています。

―そしてご自身も
 もちろん。マンスリーマンションを借りていますが、都会ですから結構、家賃も高い(笑)。元手がかかっていますからね。本気で進上金を取りにいかないとね(爆笑)。

【取材・文/松尾康司】

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2008年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2008年03月

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